千葉大学整形外科

更新日:2015/10/01(Thu)

千葉スポーツドクターリレーコラム

第7回

私と野球との関わり

 平成27年4月より千葉大学関連病院である富士整形外科病院(静岡県富士市)に勤務しております木島丈博と申します。
 私はこどもの頃から野球が大好きで甲子園出場やプロ野球選手を目指して(実力はともかく、目指すことは自由ですので…)日々練習をしておりました。しかし中学時代に自分自身が右肘の離断性骨軟骨炎になってしまい高校野球を断念せざるを得なかった経験から、心身ともに選手のサポートができるスポーツドクターになることを目標に、多くのスポーツドクターを輩出している千葉大学整形外科に入局しました。
 私のスポーツ障害に関する活動の一つとして離断性骨軟骨炎の早期発見を目的とした野球肘検診があります。離断性骨軟骨炎は進行すると軟骨がはがれいわゆる"関節ねずみ"となってしまうこともある肘の軟骨障害ですが、初期ではほとんど症状をださないため、痛みや可動域制限などの症状を出し病院を受診するころにはすでに進行期となってしまっていることが多いのが特徴です。一方、初期の段階で発見できれば保存療法でかなり高い確率で修復するといわれております。近年、離断性骨軟骨炎の早期発見を目的に成長期野球選手を対象にスクリーニング検査として超音波検査を施行する野球肘検診が全国各地で行われるようになってきており、千葉では千葉大学整形外科肩グループ落合信靖先生を中心に2012年から野球肘検診を行っています。また、現在勤務している富士整形外科病院(静岡県富士市)では、2010年から富士市・富士宮市の少年野球団を対象に野球肘検診を行っております。私はこのような活動を通して、離断性骨軟骨炎を早期発見することで肘の障害が原因で野球を断念してしまうような少年が一人でも少なくなってほしいと心から願っています。また野球肘検診は離断性骨軟骨炎の早期発見だけでなく、現場の指導者や父兄の方々と直接交流できるため、野球による障害に関し相互理解しあう場としても有意義であると感じております。
 またもう一つの活動は高校野球への関わりです。主に夏の全国高校野球県予選の球場サポートを行っております。なにもなければバックネット下の関係者席で試合をみることができるため個人的には大変有意義な活動ですが、夏の大会は、30度をゆうに超える7月下旬に行われるため、選手のけがはもちろんですが観客の熱中症に対しての対応も含まれます。(特に昨年などは試合終盤に熱中症症状で医務室に運ばれる観客が続出し試合観戦どころではありませんでした.)ここ数年は自分の出身地である福島県の夏の予選(準決勝・決勝)のサポートに行かせてもらっていますが、千葉県の高校野球連盟からも要請をいただいており今後は活動の場を広げていきたいと思っております。
 また甲子園での活動としては2013年、2015年に数日間ではありますが関わりのある甲子園出場校に帯同させてもらいました。甲子園滞在期間中はチームと一緒の宿舎に宿泊し、練習へもバスで一緒に同行させてもらいました。高校時代は甲子園を目指すことすらできなかった自分としては甲子園出場チームに関われるだけでとても感慨深いものがあります(今年は打撃練習の球拾いのためマイグローブを持参していきました!余談です…)。大会期間中に状態が悪い選手がいる場合はトレーナさんと連携して治療方法を考えます。医療機関で選手を診る場合には基本的には100%での復帰をめざして、より根本的な原因に対しての治療計画をたてますが、大会期間中求められることは、今ある状況の中でできる範囲でよいパフォーマンスを出せるような方法を考えていくことになります。例えば痛みのために思うようなパフォーマンスが出せない選手であればまずは痛みを取ってあげることが一番です。また大会期間中ですので不用意な言葉でメンタル面に影響してしまうことのないように、けがや痛みのある選手に対しては心理的な部分も十分考慮した言葉のかけ方などが必要だと考えます。
 また、実際にチームに帯同してみて監督、コーチ、選手の真剣な様子や、メンバーに入れなかった3年生が献身的にチームをサポートする姿を目の当たりにすると、短期間の帯同ではありますがチームスポーツの素晴らしさに毎回感動を覚えます。実際には甲子園出場校だけでなくどの高校でも選手・監督・コーチ・父兄の方々の信頼・協力関係があってチームが成り立っているのだと思います。試合は勝負事なので勝ち負けは付きますが、特に最後の大会では選手が納得のいくパフォーマンスを発揮できるように少しでもその手助けができればと思います。このような経験をふまえ、特に期間が限られている学生スポーツにおいては、第一には障害予防、またすでに障害が生じている場合には大事な大会に向けての復帰プランなどを選手の立場になり考えていく姿勢を今後も大切にしていきたいと思います。

 学生時代スポーツをやってきたあるいは今後スポーツにかかわりたいと思っている学生さんや研修医の先生方、千葉大学整形外科ではどの分野においても幅広く活躍する場があります。我々と一緒にスポーツドクターをめざしませんか!

富士整形外科病院
木島 丈博
図1
2015 甲子園の青い空
図2
野球肘検診の様子
図2
おまけ 千葉大整形外科野球部もありますよ!(2015千葉マリンスタジアムで試合)

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