千葉大学整形外科

更新日:2015/10/19(Mon)

千葉スポーツドクターリレーコラム

第8回

全国高校サッカー選手権大会選抜 欧州遠征に帯同して

 柏市立柏病院整形外科の池川直志です。当院では主に下肢スポーツ整形外科を担当しています。
 私がスポーツドクターを目指したきっかけは、私自身が高校時代に膝と足首の怪我をして数年間まともにサッカーができなかった事でした。そんな悔しい思いから整形外科医を目指し、現場のスポーツドクターになりたいと願っていたところ、多くの出会い・支えが与えられ、現場に関わる機会を沢山いただきました。そして、現在も一般病院で臨床医をしながら、上司や周りのコメディカルの理解・助力を得て、現場に関わり続けています(この場をかりて深謝致します)。
 今回は、私が経験した現場仕事の1つ、サッカー高校選手権選抜欧州遠征についてお話ししたいと思います。この遠征は、正月恒例の全国高校サッカー選手権大会で選ばれた優秀選手が、短期合宿を経て18名に絞り込まれて行うものです。私が帯同した年はスイスでの合宿とドイツでの大会参加でした。
 通常、海外遠征となると、事前準備として、現地の環境、飲料水や食事の問題、流行している感染症(最近で言えば韓国で流行したMERSなど)などの情報を得て、その対策を練る必要があります。状況に応じて、現地の大使館に勤務している医務官とコンタクトを取り必要な情報の入手も行います。また、選抜チームの集合後には、私からドーピングや移動機内での過ごし方について、トレーナーから食事についてのレクチャーをそれぞれ行い、選手たちにも最低限の知識を習得させてから海外遠征に臨みました。
 少数精鋭18名で臨んだ遠征のため、怪我人や病人が出ない事を祈りつつの出発でしたが、初日にスイス現地のユースチームと練習試合を行った際、欧州の球際の当たりの洗礼を浴び、チームのエースと守備の要であったボランチの選手に怪我人が出てしまいました。怪我は強い打撲で、大会初日まで4日という中で大きな痛手でしたが、RICE療法や投薬、試合前の痛み止めの注射でなんとか試合に出られる状態にすることができました。
 ドイツでは大きな怪我人こそ出ませんでしたが、慣れない海外での遠征で体調を崩してしまう選手も見受けられました。海外遠征先で病院受診をする際は、現地のコーディネーターに依頼し、手配してもらう事になっています。その時は、とある選手は副鼻腔炎の診断でしたが個室隔離と抗生物質の投与で幸いにも軽快し、別の選手は大会を終えて帰国する前夜に腹痛と下痢を発症したものの、応急処置にて何とか帰国し、ともに現地の病院を受診するまでには至らずに済みました。
 余談ですが、ドイツの空港でAED(自動体外式除細動器)を持って搭乗しようとしたら、時限爆弾か何かと間違われ別室に連れて行かれる経験もしました(日本の医師免許証は役に立たず、日本整形外科学会の会員証の英語表記を見せて何とか分かってもらえました…)。
 このように海外遠征帯同は、国内での活動に比べ不慣れな事も多く苦労もありますが、日本とは異なる文化に触れたり、その国独自の環境を体感できたりと得る物も非常に大きく、スポーツドクターの醍醐味をより一層強く感じる事の出来る仕事の一つです。
 様々な競技、色々なカテゴリーのスポーツ選手をサポートするため、是非とも千葉大学整形外科で一緒に活動しましょう。お待ちしています。

柏市立柏病院 整形外科
池川直志(H15年卒)
図1
スイス合宿の練習風景。アルプスの山々を臨みながらの練習でした。
図2
ドイツ大会の様子。近所の住民がたくさん応援に駆け付けていました。

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