千葉大学整形外科

更新日:2016/02/29(Mon)

千葉スポーツドクターリレーコラム

第12回

「むかで競走」はどのくらい危険なのか?

北里大学医学部 整形外科学
東山 礼治
 スポーツには怪我はつきものですが、そのリスク以上に心身の健康上の利益が得られることが期待されています。学校におけるスポーツを考えたとき、全生徒が参加する運動会では、自ら選んで参加している部活動よりもリスクを減らすべきではないでしょうか。全国の学校で当然のように開催されている運動会ですが、意外なことに種目ごとの怪我の発生率はわかっておりません。
 私は2009年に関連病院である富士整形外科病院で勤務した際に、運動会種目の「むかで競走」で怪我した小学生や中学生を多く診察しました。そこで何か役に立てないかと考え、地元教育委員会、医師会の承諾と病院の多大なる協力を頂き「むかで競走」の外傷調査を開始しました。判明したことは、中学校では約10日間の練習期間で1-2%以上の生徒が医療機関への受診を要する怪我をしていることです。これは体育系部活動よりも数倍多い数値です。また列が長くなればなるほど怪我が多くなり、先頭グループに多く発生することもわかりました。中には手術を要する骨折も見られるため、予防策の構築が急務です。調査7年目を迎えた今年度はNHKなどの多くのメディアに取り上げて頂き、また教育委員会では安全対策委員会が立ち上がりました。まだ道半ばですが、伝統ある「むかで競走」の意義や楽しさを維持しながら、生徒、保護者、学校の先生方と協力して、妥当な安全性を持つ種目へ改善できれば最高だと思っております。

図1
むかで競走の外傷調査:NHKニュース7、TBSビビット、北海道新聞などに取り上げられました。

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