千葉大学整形外科

更新日:2016/04/18(Mon)

千葉スポーツドクターリレーコラム

第14回

Return to play - Football Medicine Strategies

千葉大学大学院医学研究院 整形外科
赤木 龍一郎
 千葉大学医学部附属病院整形外科スポーツ・膝グループの赤木です。この度、4月9日から11日の期間で英国ロンドンにて開催されたFootball Medicine Conference 2016http://www.footballmedicinestrategies.com/en/ に参加してきましたのでこの場を借りて簡単にご報告させていただきます。
 国内外にスポーツ医学に関連した学会は数多くありますが、実は今年ですでに25回目にもなる本学会は「サッカー医学」に特化したかなりマニア向けの学会です。その中で、今回の学会では表題の通りReturn to play (RTP)をテーマに、「いかにして安全かつ早期にパフォーマンスを回復させて選手を試合に復帰させるか」ということについてアツい議論がかわされました。各国の代表チームドクターやFCバルセロナやチェルシーといった各国のトップチームのドクター、トレーナーの報告や実際の経験、各チームでの復帰戦略(strategy)が紹介され、それをもとに議論される大変興味深く刺激的な学会でした。また、パフォーマンスを上げながら外傷(ケガ)や障害(オーバーユース)をいかにして予防するかということに関しては以前このコラムでも見目先生がその難しさを述べておられました(第10回コラム)が、本学会でもやはりひとつのメイントピックとして取り上げられていました。サッカーではFIFAが11+(イレブンプラス)というウォーミングアッププログラムを作成し(FIFA Webサイト http://f-marc.com/11plus/home/日本語版JFA Webサイト http://www.jfa.jp/football_family/medical/11plus.html)、すでにその外傷予防効果を示す研究成果も報告されています。今後はこのプログラムを草サッカーレベルまで啓蒙、浸透させて活用してもらうことが大切であると強調されるとともに、子ども向けの同様のプログラムとして11+ Kidsが新たに発表されていました。
 今回の学会には日本から26人のサッカー大好きドクターが参加(アジアからは最多)しており、千葉大学からは私のほか、東邦大学佐倉医療センターの齊藤雅彦先生(第6回コラム)と帝京大学ちば総合医療センターの村松佑太先生(第4回コラム)が参加しました。学会中は他大学の先生と色々と意見交換をできただけでなく、齊藤先生、村松先生とともに実技としてロンドンの街を早朝ランニングし、プレミアリーグ(Tottenham Hotspur F.C. vs Manchester United F.C.)の試合で選手の状態を観察するトレーニング(観戦)もでき非常に充実した学会でした。
 冒頭で「マニア向けの」学会と紹介しましたが、サッカー以外のスポーツにももちろん応用できる内容が多く学べる学会です。スポーツ医学を志す若い先生にとっては、サッカーに特に興味がある人でなくてもとても有意義な経験ができると思いますので機会があったら参加してみることをおすすめします。また、規模は異なりますが日本でもサッカードクターセミナーというJFA主催の会もありますので興味があればお問い合わせ下さい。
 最後に、病院を留守にしてこのような学会に参加させていただくことができるのもスポーツグループをはじめとする病院の諸先生方のご協力あってのことです。この場をお借りして心より御礼申し上げます。


図1
学会場にて 来年は5月にバルセロナ開催
図2
Southamptonジュニアチームの子どもたちによるFIFA 11+ Kidsの実演
図3
実技 バッキンガム宮殿まで早朝ランニング

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