千葉大学整形外科

更新日:2016/07/17(Sun)

千葉スポーツドクターリレーコラム

第16回

熱中症にならないために

千葉大学医学部附属病院 整形外科
赤木 龍一郎

 千葉でも真夏日が続いています。サッカーなどの運動の際に気分が悪くなる子が時々いますが、これは熱中症の症状の可能性があり、注意が必要です。そこで、熱中症の基本事項を確認し、ご家庭でもできる対策についてご紹介したいと思います。

◯熱中症ってどんな状態?

 人間は、通常は多少気温が高くても皮膚から熱を逃したり、汗をかいたりすることで自分の体温を下げ、一定の範囲に保つことができます。熱中症とは、暑い日や湿気の多い日に運動をすることでこの体温調節機能がうまく働かなくなってしまい、体に熱がこもってしまうことで生じる色々な障害を総称した状態です。

◯熱中症の要因

  1. ① 環境:気温が高い、湿度が高い、風が弱い、日差しが強いなど
  2. ② からだ:高齢者、乳幼児、肥満、栄養不足、脱水状態、寝不足などの体調不良
  3. ③ 運動:激しい運動、慣れない運動、長時間の屋外運動、水分補給できない状況
暑くて湿度が高い日に水分を十分にとらずに長時間運動をしていると(こどもは特に)熱中症になる危険があります。

◯熱中症の予防

 熱中症はきちんと注意することで予防が可能です。
  1. ① 十分な水分・塩分の補給
    運動中は「ノドが乾いた」と思う前にこまめに飲むことが大切です。
    また、人間は夜寝ているだけでも汗などで水分を失いますので特に午前中の運動の前には朝食をしっかりとり、コップ2-3杯の水分(みそ汁もOK)補給をしましょう。
  2. ② 熱のこもらない涼しい服装
  3. ③ 日陰、涼しいところでの休憩
    暑い日の試合ではクーリングブレイクや給水時間の確保を検討しましょう。
  4. ④ 運動環境(場所、時間)の調整
    気温や湿度を用いたWBGT(Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度、暑さ指数)という指標があります。この数字が高い時間帯を避けて練習や試合のスケジュールをたてましょう。
    WBGTの数値は環境省熱中症予防情報サイト(http://www.wbgt.env.go.jp/)などで確認できますが、携帯用のWBGT計を用いて運動を実際に行う現場で測定することが望ましいです。
WBGTと生活活動・運動に関する注意の目安
気温(参考) WBGT   日常生活 運動
35℃以上 31℃以上 危険 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 特別の場合以外は原則中止、特に子どもでは中止する。
31〜35℃ 28〜31℃ 厳重警戒 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 激しい運動や持久走などは避ける。十分な休息、水分・塩分の補給を行う。
28〜31℃ 25〜28℃ 警戒 運動や激しい作業をする際は十分休息をとる。 積極的に休息をとり(激しい運動では30分おき程度)、十分な水分・塩分の補給を行う。
24〜28℃ 21〜25℃ 注意 激しい運動や重労働時には注意する。 熱中症の徴候に注意し積極的に水分・塩分の補給を行う。
24℃未満 21℃未満 ほぼ安全   通常は熱中症の危険性は少ないが、適宜水分・塩分の補給は必要。
(環境省熱中症予防情報サイトより抜粋・一部改変)
熱中症は何よりも予防が大切!

◯熱中症になってしまったら…症状と対処は?

  1. 軽い熱中症(熱けいれん、熱失神)
    めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の汗、筋肉痛、こむらがえりなど
    意識障害はない
    →冷所で安静、体の冷却、水分・電解質の摂取(スポーツドリンク、OS-1など)
    どこを冷やすと効果的?
    • ① 首の周り
    • ② 脇の下
    • ③ あしの付け根(またの部分)
    ※なるべく服を脱がせて冷やしましょう
    なるべく服を脱がせて冷やしましょう
    いらすとやさんの画像を改変しました。
  2. 中等度の熱中症(熱疲労)
    頭痛、嘔吐、だるさ、力が入らない
    集中力、判断力の低下
    →医療機関の受診、安静、十分な水分・電解質の補給(飲めない場合には点滴)
  3. 重症の熱中症(熱射病)
    意識障害、けいれん、肝臓や腎臓の障害(血液検査)
    →入院治療
重症の熱中症は命にかかわる危険な状態です!

下記サイトなどでも詳しい情報が入手できますので参考にしてください。

環境省熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/


日本体育協会
http://www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid/523/Default.aspx


日本サッカー協会熱中症対策ガイドライン
https://www.jfa.jp/documents/pdf/other/heatstroke_guideline.pdf




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