千葉大学整形外科

更新日:2016/10/03(Mon)

千葉スポーツドクターリレーコラム

第19回

WBSC U-15 BASEBALL WORLD CUP

富士整形外科病院
木島 丈博

 このたび、WBSC U-15 BASEBALL WORLD CUP(15歳以下の野球の世界大会)が福島県いわき市で行われ、チームに帯同いたしましたのでご報告させていただきます。
 今回、私が福島県出身ということで福島医大の先生方を中心とするmedical staffの一員として参加させていただきました。今回の役割は、日本だけでなく各国選手・スタッフへの対応(大会期間中いわきのホテルに宿泊している全参加国の選手及びスタッフへの医療対応)、大会の会場ドクター(球場での観客も含めた医療対応)でした。
 まず会場ドクターでは、30度を超える中での試合がつづきましたが、幸いにして重度の熱中症はなく、また頭部外傷など緊急を要するようなものはありませんでした。また日本の選手に関しても大きく体調をくずした選手はなく、トレーナー、PTによるコンディショニングが主でした。
 私がホテル・球場で対応した内容としては、おもに熱・咽頭痛、腹痛など風邪症状のような内科的対応、皮膚のかゆみ・湿疹、すりきず、肩・肘の痛み、試合中の打撲・捻挫、etcでした。
 今回南米、ヨーロッパ、オセアニアから12か国が参加しており、各国には外語大の学生通訳がついておりました。しかし、ときどき通訳なしでの急な医務室への来訪があり、スペイン語やポルトガル語を公用語にする国では英語も通じないため困りましたが、body language等でなんとか乗り切りました。
 またU-15といっても各国で体格差が顕著で、キューバ、アメリカでは身長2メートルを超える選手がいたり、また140キロ中盤~後半までだす投手もおり世界は広いなあと思いました。しかし、体格やスピードでうわまわる相手でも日本は互角以上に戦い、決勝ではキューバに惜敗したもののWBSC U-15大会でこれまで最高位の準優勝となりました。
 今回、U-15の大会ということで、特徴の一つに厳格な球数制限が導入されていたことが挙げられます。試合での投球数に応じて、次回登板までのインターバルが設けられていました。(例えば1試合の投球数は最大で95球、その場合4日以上のインターバルが必要となる、など)。また日本代表の鹿取監督も、“この大会がキャリアハイになりプレーヤーとしての可能性を閉ざすようなことがあってはならない、選手たちには次へのステップとしてこの大会を戦ってほしい”とおっしゃっており、選手の将来を考慮し、大会中も決して無理はさせない起用をしていたのも印象的でした。
 また、今回の大会期間中に、野球・ソフトボールの東京五輪での正式種目復帰が決まりました。今回のいわきでの国際大会は、いわき市役所の方々が一生懸命、野球連盟や各国によびかけて実施に至ったもので、いわきでの復興をアピールして東京五輪での野球・ソフトボールの予選をぜひ被災県である福島県でという思いも込められております。今回私自身はたいした仕事はしておりませんが、この国際大会が円滑に行われたことが東京五輪へとつながればいいなと思います。
 今回9日間と長期間の帯同をさせていただきましたが、このような活動は、スポーツドクター活動にご理解くださる現在勤務している富士整形外科病院の渡辺英一郎先生、高森尉之先生はじめスタッフのみなさん、また普段からご指導くださる同門の先生方のご協力があってはじめて成り立っております。心から感謝申し上げます。

図1
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