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名誉教授の独り言(190) 一過性脳虚血性発作

更新日 平成30年8月23日

 過日の7月5日の不具合は一過性脳虚血性発作(Transient Ischemic Attack,TIA)だったのだろうという事で落ち着きました。その道の専門家である千葉大学の脳外科専門医にご診察頂き、幸いにしてほとんどの症例の原因である頸動脈の動脈硬化や不整脈も無く、ちょっと手遅れですが、2~3ヶ月アスピリンを服用することになりました。
 救急患者として大学病院を受診した時に全ての検査が終わり、「全ての検査で異常はありません。帰って良いです」、と言われた時は嬉しくて慌てて帰宅してしまいました。でも、「本当に何でもないのかなー」、という思いがあり、スポーツクラブでも恐る恐るexerciseしていました。その後に勧める人もいて、大学の脳外科を受診しTIAと診断されました。それにしても、発作後、最も危険な状態にある1~2日間に何も起こらなかったことは本当にluckyでした。今後3ヶ月以内に本物の脳梗塞になる確率は15~20%ぐらい(その約半数は最初の発作の1~2日目に起こるようです)のようですので、もう暫くはアスピリンを続けます。
 最終診断をして下さった脳外科医の先生は名医だと思います。約30年前に彼が医学部学生の頃に私が指導したことがあったようですが、私が恐る恐る「アルコールはダメでしょうね」と聞きましたら、「いやいや、アルコールは適量続けて下さい。その方が血のめぐりが良く、TIA後の本物の脳梗塞の発生率はデータでは38%少ないのです」、との事でした。大変嬉しくなり、「適量とはどのぐらいですか?」と聞きましたら、「350㏄のビールなら、その後は水割り1杯です」、とその量も教えて下さいましたが、後で考えたら「適量」というのが問題でした。実は私が普段頂いている酒量の約半分です。でもゼロより良いので、以後それは守ろうと努力しています。更に「スポーツクラブに行っているのですが、exerciseはしても良いですか?」「汗をかいて、ハーハー言ってやる運動は脱水になる可能性があるのでまずいです」「腰痛解消のためにプール内歩行ぐらいでは?」「それは良いです」という事でスポーツクラブでは今はおしゃべりとプール内歩行とお風呂に行ってます。ゴルフも暑い間は止めた方が良いという事でこちらも休んでいます。
 それにしても年をとるという事は色々とあちこち不具合が起こるものです。私自身では12年前の胃癌(胃を4分の3切除)、2年前の慢性硬膜下血腫(開頭手術で血腫を洗い流して貰った)、その後の胃癌の再発(胃カメラで粘膜切除)、今回のTIAと、どれで死んでもおかしくない病気ばかりです。我儘な私に最高の医療をして下さった医師、看護師さんたちに心から感謝しています。最初の胃癌の手術後は縫合部浮腫で大変苦しみ看護師さんたちを手こずらせました。慢性硬膜下血腫の時は術後2日目にすっかり症状も良くなってしまいましたので「こんなところにいたら病気になってしまう」と20年前には医学部学生だった主治医に言い残して「なにかあったら 先生の自己責任ですよ」との声を背中に感じながら退院してしまいました。その後の再発胃癌の時には術後の病院食の都合があり、早期には帰してくれなかったので、「こんなまずい食事では回復できない」と給食室に散々文句を言い続けました。にも拘らず、こんな患者を暖かく見守ってくれて、心から感謝しています。この後、年を重ねるともっともっと我儘になると思います。
 何卒、宜しくお願い申し上げます。