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名誉教授の独り言(191) 高齢者を甘やかすな

更新日 平成30年10月2日

 先日、NHKの特番で、中村裕先生のドキュメント「太陽を愛した男」が放映されました。恩師井上駿一教授が大変尊敬していた先生で、わざわざ大分まで「太陽の家」を見学に行きました。当時、私は中村先生の事を存じ上げず、井上教授はいつも超多忙なのに何でそんなことをするのか理解できませんでした。その後、世の中でリハビリテーションやパラスポーツの重要性が論じられるようになり、その中で中村先生のことを少しずつ知ることになりました。今回「太陽を愛した男」はビデオを撮って2回見ました。2回ともどういう訳か恩師井上教授と中村先生がダブって涙が出てきてしまいました。中村先生のメッセージの中で最も印象的だったのが「身体障害者を甘やかすな」でした。自分の整形外科医人生でも確かにそのようなこともあったように思います。
 そして現在自分自身も77歳になり後期高齢者です。1日に2つの仕事は無理になってきました。午前中にスポーツクラブに行って、午後国技館へ行くと疲労困憊になってしまいます。そのような生活の中で自分を含めた高齢者の我儘が気になって来ています。
 特にスポーツクラブは老人天国です。高齢者会員の中にかなり我儘な会員がいます。先日もプール内歩行の後にストレッチングコーナーでちょっとストレッチングをしようと思い、男性高齢者の先客がいたのですが空いているところでやろうとしたら、「邪魔だからあっちに行ってくれ」と言われてしまいました。手を伸ばしても脚を伸ばしても絶対に当たらない所なのに、です。揉め事になるのは面倒なので「すみません」と言ってプールを出てしまいました。この男性には以前にも文句を言われた事があります。
 NHKの「チコちゃんに叱られる」でプールで目が赤くなるのはプールの中でおしっこをする人のアンモニアが原因との放映があり、その後に古手の会員に「そんなことがあるんですか」と聞きましたら「ありますよ、お風呂の中でもありますよ」と当然のように言われました。スポーツクラブの風呂でシャワーを浴びていたら「お湯がこっちに飛んできた」と文句を言われたことが3回あります。背中合わせに洗い場にいた時なので少しはあるだろうと思いますが、このような人は余程不幸な人生を歩んできて、心に余裕が無い人なのかと思ってしまいました。
 先日、歩道を散歩中に後ろから自転車で来たジジーに「邪魔だ!どけー」と言われたので、「歩道を自転車で走るのは道交法違反だ!車道を走れ!」「俺はいつもここを走っているんだ」「じゃー警察へ行こう」とやりあっていたら、ふらふらと車道に行きました。高齢者の我儘は挙げれば限りがありません。
 このような人の中には多少認知症が入っている人もいるのではないかと思いますが、多くは高齢者の我儘でしているように思います。私は小心なので揉め事になるのが嫌で多くは「すみません」と言って引き下がりますが、本当はそのような人に間違えを指摘し、直してもらうように言うべきと考えています。多分、言っても直らないと思いますが、勇気をもって言うべきだと思います.高齢者を甘やかさない方が結局は高齢者のためになると思っていますので。
 高齢者になったら「金持ちのような振りをすべき」、「健康そうな振りをすべき」と言われたことがあります。本当は金持ちで健康で心に余裕を持った人生の方が良いでしょうが、いつかはそうでもない時が来るでしょう。まー、自戒の念を込めながら、金持ちの振りをし、健康そうな振りをし、心に余裕がありそうな振りをしながら余生を送りたいと思っています。