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名誉教授の独り言 (170) 講話

更新日 平成29年4月7日

 先日、千葉大学大学院修了式で講和を話すように学長からご依頼を受け、柄にもないと一度はお断りしたのですが、結局お受けすることになり、話しましたので、その要旨を書きます。

 本日は千葉大学大学院修了、誠におめでとうございます。ご父兄の方々にも、心よりお祝いを申し上げます。大学院修了生は、晴れて今日の日を迎えることとなりましたが、今後、社会に出る人、研究を続ける人と色々な道があると思います。皆さんが世の為、人の為に役立つような人生を歩んでくれることを願っております。
 私は、大学院修了生の皆様を非常に羨ましく思っています。と言いますのも、私は千葉大学医学部を昭和42年3月に卒業しましたが、1年間のインターン終了後、大学院を受験出来ませんでした。当時は安田講堂事件など、学園紛争の真っただ中で医学部クラス会決議は「大学院ボイコット」でした。クラスメートのうち何人かは大学院に進みましたが、私は大学院には進みませんでした。でも、私は小学生の時から、世の為、人の為に役立つ医師になるということを決め、医学部に進み、整形外科医になり、主に関節外科、スポーツ医学の研究、臨床を続けました。毎日、必死に勉強しました。その結果、多くのスポーツ選手、プロゴルファーの中嶋常幸プロ、丸山茂樹プロ、岡本綾子プロや何人かの力士も診療しました。その結果でしょうか、後に日本ゴルフツアー機構医事委員長をご指名頂きました。そうこうしているうちに横綱審議委員で人間国宝の歌舞伎役者澤村田之助氏が千葉大学医学部整形外科教授であるということで、私の所を受診してくださり、結局は手術をさせて頂きました。治療をしている間に相撲の話をしていたら、ある日、突然「横綱審議委員になりませんか?無報酬ですが・・・。」という話になり、その後、北の湖理事長から横審のご指名を頂きました。学生時代やその後の医者になって若かった頃、酒を飲みに行ったり、マージャンをしたり、と人生を謳歌しました。それはそれで楽しかったですが、でも私にとり人生で一番楽しかったのは学生時代、その後医師として、「勉強をする事」でした。今日の大学院修了生はまだ若いです。まだまだ勉強をしなければなりません。頑張って勉強して人生を楽しんでください。
 私が人生で大事にしている事の一つに「やるべきことをやるべき時にやる」があります。研究であれ、論文作成であれ、やるべき事を素早く認識し、やるべき期限までにやり終える、ということです。相手が偉い、あるいは重要人物であればあるほど多忙であり、待っていてくれることはありませんし、重要な学会であればあるほど期限を守ることは重要です。仕事の遅い人は、結果として、それなりの評価しか頂けません。
 私は医師として教育者として一生を過ごしてきましたが、お金儲けのために仕事をしたことは一度もありません。これは大変幸せなことでした。お金を稼ぐことを第1に考えて医師をやっていると人間が卑しくなり、品格が落ちるように感じています。常に医師としてのprideを持って人生を過ごす為にはお金儲けを第1と考えてはいけないと思っています。これは医師以外の仕事でも同じだと思っています。本日の大学院修了生の皆様には、事情が許せば、「お金の為にではなく、真理の追及の為や、世の為、人の為になる仕事」をしてほしいと願っています。
 世の中で偉くなるかについて「人生は巡りあわせ」だと思っていますが、良い巡りあわせの流れを作るのも一つの努力のように思います。横綱審議委員長最後の場所に、それまで勝って欲しい、負けないでほしいという期待を何度も裏切ってきた稀勢の里が優勝し、横綱に推薦できたことは私の引退の花道を飾ってくれて、本当に幸運でした。
平成29年3月24日 千葉大学名誉教授 守屋秀繁