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第35回 National Neurotrauma Society Symposium 参加記

更新日 2017.7.25

平成13年卒
古矢 丈雄

学会全体を通じて

 我々が発表を行ったポスター一般演題を中心に学会全体の様子を報告する。今回の演題内容はSpinal Cord InjuryよりもTraumatic Brain InjuryやConcussionが多くを占めた。脊髄関連と脳関連の演題割合は3:7か2:8といった感じであった。以前参加した時はもっと脊髄の演題が多くあった印象だが、今回脊髄領域はやや肩身が狭かった。次年度はTorontoのDr. Michael G. Fehlingが会長を務めることもあり、脊髄の演題が多くなることを期待したい。

 演題は損傷後早期に動くバイオマーカーの探索や創薬に関する発表が多くみられた。一方、Stem Cell Therapyは一時期の全盛期から少し落ち着いた感があった。内容もただ細胞を移植するという時代から一歩進み、細胞の生着性を上げる工夫や、HostへのMigrationを促進させる因子を追加する研究が採択されていた。画像関連の発表も現在本邦でも国家戦略として挙がっているBrain MAPの作成に関する研究が各種撮像法により進められていた。脊髄については北村充広先生の演題を含めごく少数であった。今回は時間の関係で講演はほとんど聞くことができなかったが、脊髄領域では脊髄障害性疼痛や細胞移植の治験に関するシンポジウムが組まれていた。

 口演採択のハードルはかなり高いが、ポスターは比較的通りやすい学会である。ポスターはStandingの時間が設けられており、活発な質疑が行われる。我々も各々適度な緊張感を持ちつつポスターの前に立った。採択演題同様、参加者もBrain専門家中心のようで、Spinal cordに関する演題は聴衆の数もやや少なかったが、それでもそれぞれ有益な質問やコメントをいただいた。

第35回 National Neurotrauma Society Symposium 参加記

飯島 靖(H20卒)

 

 2017年7月7日~12日に米国ユタ州スノーバードで開催されたNational Neurotrauma Society symposiumに参加致しました。会場は以前冬季オリンピックが開催されたソルトレイクシティーの郊外で、スキーリゾート山中の雄大な景色の中で開催されました。脳損傷、脊髄損傷に特化した学会であり、今回の学会も脳損傷:脊髄損傷が8:2程度の比率で、発表の内容は基礎研究が多く見受けられました。

 今回の学会には、古矢丈雄先生(H13卒)、齊藤淳哉先生(H20卒)、北村充広先生(H21卒)、と私が参加致しました。我々のグループでは、頸髄損傷や頚髄症に関する基礎研究や臨床研究の内容をポスターで発表致しました。1時間30分程度、ポスターの横で演者が待機し、そのポスター内容に興味を持っていただけた方と間近にdiscussionしていく形式のものでした。皆、英語で白熱したdiscussionを繰り広げており、私も拙い英語を何とか駆使しながら海外の研究者、臨床家とdiscussionをしていきました。特に印象に残ったことが、私の発表に脊髄損傷の重鎮であるDr. Fehlingsに直接質問をいただき、興味を持っていただけたことでした。

 発表後は、学会会場付近でハイキングを行い、3300Mの山頂から雄大な景色を皆で楽しみました。今回の国際学会発表では、海外の高いレベルの基礎研究に触れたことや、海外の研究者と間近にdiscussionしたことなど、貴重な経験をさせていただき、大変勉強になりました。この経験を糧にして、臨床、研究に一層励んでいきたいと思います。

 最後にこのような学会発表の機会を与えてくださいました、大鳥教授、古矢先生をはじめとする諸先生方、並びに大学での留守を引き受けて下さった宮本先生ならびにフレッシュマンの先生方に心より御礼申し上げます。

 

ポスター

○Takeo Furuya

「Surgical decompression in patients with compressive myelopathy who had past medical history of cervical spinal cord injury」

 

○Yasushi Ijima

「Experimental rat model for cervical compressive myelopathy」

 

○Junya Saito

「Combination of epidural spinal cord stimulation and body weight support treadmill training for severe spinal cord injury」

 

○Mitsuhiro Kitamura

「Diffusion tensor imaging can predict surgical outcomes of patients with cervical compression myelopathy」