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第26回 千葉大学附属小中学校での運動器検診活動 -赤木 龍一郎

更新日 2017.5.26

平成16年卒
千葉大学医学部附属病院 整形外科
赤木 龍一郎

 子どもたちの運動器疾患・障害を早期に発見することを目的に、平成28年4月より学校保健で運動器検診が義務化されました。これは、現代の子どもたちの運動不足による体力・運動能力の低下や、逆に運動のしすぎによる運動器障害の問題に対処するために始まったものです(参考:「運動器の10年」ウェブサイト http://www.bjd-jp.org/medicalexamination/index.html)。
 10歳から15歳の成長期には特にスポーツをよくやっている子どもたちに膝痛や踵痛が多く発生します。こうしたスポーツ障害の原因には柔軟性が足りないことや運動のしすぎ、扁平足など様々な原因が考えられていますが、特定の原因はわからず、予防することができていません。本検診の義務化に伴い、昨年度より千葉大学整形外科では千葉大学教育学部附属小学校・中学校と連携して小児のスポーツ障害の原因をつきとめ、予防策を講じるための調査を開始することにいたしました。そこで、千葉大学附属小中学校の運動器検診では通常の保健調査票の内容に加えて下肢形態や柔軟性、小児のスポーツ障害でよくみられる膝や踵の痛みに注目して詳細な測定・診察を整形外科医が行っています。総勢900名近い生徒を診察するため、二日間の検診スケジュールの中で、当院の若手医師を中心に約10名の医師に協力してもらい、本年もゴールデンウィーク明けの5月8、9日に検診を行ってきました(今年参加した白谷先生に感想をいただきました)。さらに、検診後には生徒へのアンケートで痛いところはないか、毎月調査を行って疼痛の発生状況を調べるとともに、運動器検診の結果と合わせてどういった子が疼痛を生じやすいのか解析をすすめていきます。この調査を通じて小中学生のスポーツ障害の原因が明らかになり、辛い思いをする子どもを少しでも減らすことにつながれば幸いです。

運動器健診を終えて

H27年卒(H29年 入局)
千葉大学医学部附属病院 整形外科
白谷悠貴

 

 2017年5月8日,9日と,千葉大学附属小学校・中学校にて運動器健診をおこなってきました。
 赤木教官率いるスポーツチームの先生方とともに,我々フレッシュマン(入局1年目)と整形外科をローテートしている初期研修医も同行させて頂きました。
 診察する項目自体は事前に講義をしていただき,また若手同士で練習をして臨みましたが,いざ診察の場にスタンバイすると,列をなすたくさんの子供たちに圧倒される面もありました。4月より整形外科医としてのスタートを切り,初めての診察でした。はじめは予習の通りにいかずに手間取ることもありましたが,たくさんの子供の,足を中心とする運動器を診察していくことで,子供の足や骨格を見慣れてくることが自分でも実感できました。
 そういった機会を与えてくださった教官の山口先生,赤木先生,またたくさんのご指導をしてくださったスポーツチームの先生方にはこの場を借りてお礼申し上げます。