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【番外編】教授からのメッセージ「入局を考えている女性医師の方々へ」

更新日 2019.1.23

千葉大学・整形外科 教授
大鳥精司

整形外科の働き方の現実問題

平成21年の女性医師の勤務環境の現状に関する調査報告書によりますと仕事を中断,休職,離職した理由は出産が70%,子育てが38%であります.期間も6ヶ月から1年が30%と最も多いですが,3年以上も10%以上いるのが現実であります.実際に私の妻も眼科医でありますが,3人の子育て,更には留学等で,長年の休職を余儀なくされました.整形外科女性医師が他の領域の女性医師と比較して特に大きなハードルがあるとは思えませんが,これは全診療科に同じような問題と捉えています.

 

②働き方の改善策(すぐできる事,長期的展望)

すぐできる事

これは私自身が実践している事ですが,記載したします.

①男性,女性医師にも産休,育休は最大限20年許可しています(子供が成人するまで).実際に女性医師は最大7年,男性医師は1ヵ月から半年までの希望があり休職しました.その様な,女性医師をサポートするような男性医師の家庭参画を積極的に進めるべきであります.口約束にならない様,また両家に伝わるよう,結婚式での主賓の挨拶にはそのことを常に盛り込んでおります.

②医局に整形外科女性医師の会を作っており,その場で忌憚なき意見交換をしてもらっております.また風潮を作るためには,意識面の改革が重要です.この効果かどうかは不明ですが,ほぼ全ての女性医師は専門医,学位を取得しており,国内外にも留学しています.また当科開講65年以来,初の女性医師文部教官を2018年度から誕生させました.2019年度は5名の女性医師が専攻医として入って頂く予定であります.

 

長期的展望

平成25年臨床研修修了者アンケート調査(厚生労働省調べ)によりますと,臨床研修医に子育てをしながら勤務を続ける上で必要な条件を問うたところ,子育てをしながら勤務を続ける上で必要な条件として,「職場の理解・雰囲気」「短時間勤務制度」「当直や時間外勤務の免除」「勤務先に託児施設がある」「配偶者や家族の支援」の順に多かったようです.従って私が考える長期的展望として,

①医師の働き方改革→効率化などにより,医師全体の勤務時間を削減.シフト制の導入なども検討が必要です(育児中でも,勤務時間が決まっていれば,託児を頼むなどの対応で,休日や夜間の勤務も多くの場合は可能なはずです).

②男性の家庭参画→女性の社会参画が進んだ分,男性の家庭参画も進めないと,働く女性に過大な負荷がかかります,その一方で,構造だけでなく「意識」の改革も並行して必要であります.家庭参画することにより被る出世や給与への悪影響は,女性より男性の方が大きいなどの研究結果もあり,指導者層の意識面の改革も取り組むべき課題であります.またこれらの要因は整形外科では女性医師の割合が5%以下であり,その要因も背景にあるかもしれません.実際に整形外科学会等の理事,評議員,大学の文部教官に女性医師が極端に少なく,これらも足かせになっているかもしれません.

 

 

平成24年診療科医師男女別.出典 平成24年医師・歯科医師・薬剤師調査

 

 

千葉大学整形外科における女性医師.開講65年で初めて女性医師が入局したのが平成元年である.人数は少ないもののキャリアパスは男性医師を凌駕している.(空欄はその学年に達していない為)