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セミナー/コラム

整形外科 Cadaver Workshop in Chiba <Hand & Elbow>

Advanced CAL course

更新日 2020.2.24

令和1年11月8日 開催

千葉手肘の外科Cadaver Workshopを開催して

松浦佑介

 

 2019年11月8、9日、千葉手肘の外科研究会と千葉大学整形外科との共催にて千葉手肘の外科Cadaver Workshopが開催されました。本プログラムは2012年より毎年開催され本会で8回目を数えます。2017年より関節鏡をプログラムに加え、2018年より2日間の日程で開催しております。今年度は初日に関節鏡(手関節鏡・肘関節鏡)を行い、取手北相馬保健医療センター医師会病院の吉田綾先生を特別講師としてお招きし、鏡視下手根管開放術の極意をご教授いただきました。2日目はエコーと解剖を組合せたWorkshopといたしました。エコーで見えた組織がどの様になっているかを確認していただくプログラム編成となっております。

 

 さらに今年度は様々な改革をいたしました。1つ目は働き方改革を意識して、金曜日―土曜日の2日間に変更いたしました。Cadaver Workshopは2日間、手術を絶え間なく行うために、かなり疲労をします。Workshopの翌日に休みを設けることは参加者にとって負担軽減となりました。2つ目は、併設でOT/PTのCadaver Programを開催しました。手外科は手術以上にリハビリが重要となります。リハビリを担うOT/PTのコメディカルの先生にCadaverで学習してもらうことは私達医師の使命だと考えております。初日はかつしか江戸川病院の我妻浩二先生を中心にエコーセミナーを開催しました。エコーの原理から上肢走査の各論まで、講義のみならず、参加者同士でエコーを走査する実習に多くの時間を費やすことで、解剖学的知識を再確認していただきました。今回、エコーに触れるのが初めての参加者も多くおりましたが、皆さんかなり上達して、見たい画像を描出できるまでになっていました。そして、二日目に医師が解剖する御遺体を間近で観察することで、エコーで確認した解剖学的な構造が実際にどの様になっているかを、理解してもらうことを目的としました。

 

 医師は手外科手術に必要な詳細な解剖知識や手技を学び、手外科の診療にすぐに役立つ知識を習得できる充実した内容となりました。そして、コメディカルはリハビリに必要な解剖学的知識をエコーの画像とともに習得することができたと確信しております。これにより、患者さまの成績が向上し利益を還元できることを祈念しております。

 

 最後になりますが、ご多忙の中、このプログラムにおいて講師の労をお取りいただきました取手北相馬保健医療センター医師会病院 吉田綾先生、千葉市立青葉病院 六角智之先生, キッコーマン総合病院 田中利和先生, 松戸整形外科病院 徳永進先生, 千葉大学(環境生命医学) 鈴木崇根先生、かつしか江戸川病院 我妻浩二先生、西川整形外科 杉浦史郎先生 船橋整形外科 高村隆先生、運営に当たりご協力いただきました千葉大学整形外科および環境生命医学スタッフの皆様に御礼申し上げます。

 

参加者の声

千葉手・肘の外科研究会Cadaver Workshop 2019に参加して

平成27年度卒 整形外科シニアレジデント

金沢病院 整形外科

今村 優香里

 

 2019年11月8日、9日に千葉大学医学部Clinical Anatomy Lab(CAL)にて開催された千葉手・肘の外科研究会Cadaver Workshop 2019に参加させていただきました。

 はじめに、御献体に関する講義を通してCALでの心構えや注意点を教わった後に、workshop開始となりました。

 1日目は関節鏡を中心に、肘・手関節・手根骨周囲の正常解剖の構造や鏡視下手根管開放術(ECTR)などの手術手技について学ばせて頂きました。2日目は肘以遠を中心に、上肢全体の解剖学をエコーも使用しながら学習させていただきました。

 実臨床で経験を積んでいく中で感じていた疑問を、今回改めて上肢解剖をさせていただく中で、解決することができました。

 また手肘領域の関節鏡は、実際に操作してみないとその難易度や感覚を得にくいものと思いますが、それらを体感でき、教科書からは得られない知識を得ることができました。cadaver workshopでなければ体験し難い貴重な経験だったと感じており、非常に有意義な実習をさせていただくことができました。

 このような機会を与えてくださった講師の先生方、鈴木先生、松浦先生をはじめ事前準備から当日の指導に至るまでお忙しい中ご尽力いただいた手外科スタッフの先生方に心より感謝致します。

そして最後になりますが、CALの理念をご理解いただき御献体頂きました白菊会の皆様と御遺族の方々に心より感謝申し上げます。今回学ばせていただいた経験は今後の臨床の中で還元させていただきたいと思います。有難うございました。

 

 

千葉手・肘の外科研究会2019 感想文

東京ベイ・浦安市川医療センター 整形外科

山本 皓子

 

今回、2019年11月8日、9日に開催されました千葉手・肘の外科研究会Cadaver Workshop 2019に参加させていただきました。今回のコースでは、1日目に肘関節鏡、手関節鏡、鏡視下手根管解放術に関して、2日目はエコーを用いて、そのエコー画像と実際の解剖を照らし合わせながら臨床解剖を学びました。

私自身は関節鏡を始め臨床経験が未だ乏しく、肘・手関節ともに非常に狭い空間での鏡視を駆使した諸々の操作にもとても苦戦しました。

教科書やビデオで見る手術の景色と、実際の人体で見える景色は根本的に全く別のものです。『この神経はこう広がっているのか』『この靭帯のおかげで関節が安定するのだな』と、実際に動いていた様子を想像ながら実習を行いました。手術の時の緊迫感から解放されて、じっくり納得いくまで観察、手技が行えることは外科医にとっては何よりの貴重な時間と経験でした。また関節鏡を挿入する部位にも重要な構造物が存在していることなども、関節の中と外から見ることでより立体的に理解することが出来ました。我々外科医にとって基本中の基本である解剖を、通り一遍ではなく慎重に深く理解する一助となりました。

最後に、このような機会を設けてくださった講師の先生方、千葉大学整形外科およびCAL

の皆様方に御礼申し上げると共に、白菊会の方々の篤志に心より感謝いたします。今回の経験を実臨床に生かし、より多くの患者様により良い医療を提供できるよう精進して参りたいと思います。本当にありがとうございました。

 

 

西川整形外科 理学療法士

高田 裕佳

 

今回私は整形外科Cadaver Workshop in Chibaに参加させていただきました。1日目は千葉大学整形外科学の松浦佑介先生、かつしか江戸川病院の理学療法士の我妻浩二先生より、エコーの初動操作を始め、神経走行や骨、関節、筋など組織観察の講義を受けさせていただきました。エコーの実技デモンストレーションでは、静的、動的な組織観察を行うことで、神経と筋、関節運動の関係性を把握することができました。臨床で多く遭遇する絞扼性障害や、肩関節疾患などの治療に大いに役立つ内容であり、エコーの有用性を確認することができました。エコーの活用により、局所の解剖学的評価がより正確となり、エコー画像を用い患部へのアプローチ、さらに治療直後にエコー画像にて即時効果の判定が可能となります。臨床において、患者様と治療効果の確認を視覚的に共有できることは、非常に有用であると感じました。

 我々コメディカルは、通常、画像や体表上、または解剖の教科書上でしか組織確認を行うことができません。今回のセミナーでは、知識・経験豊富な上肢専門の先生方がご献体にて、解剖の講義をしてくださり、かつてない貴重な経験をさせていただきました。具体的印象に残ったものとして、鎖骨下から腕神経叢の枝を一つずつ確認し、末梢に向けての各神経の走行を遠位まで確認することができ、大変勉強になりました。また、初日エコーの講義にて学んだ神経・骨・筋の解剖が実際の肉眼解剖とリンクし、さらに知識を深めることができたと感じております。

 このような機会を与えていただいた環境生命医学の鈴木崇根先生、整形外科学の松浦佑介先生そしてセミナースタッフ、業者様に厚くお礼を申し上げます。また何より、ご献体となってくださった方やそのご家族の方に心より感謝いたします。このご厚意を無駄にすることなく、学んだことをもとに勉学に励み、少しでも患者様に還元していけたらと思っております。本当にありがとうございました。