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第37回 第26回スポーツ法学会に参加して

更新日 2018.12.20

平成22年卒
貞升 彩

先日、京都にございます同志社大学新町キャンパスにて行われた第26回スポーツ法学会に参加しました。

スポーツ法学とは、スポーツ現場で起こる外傷をはじめ、人権、教育、契約、環境、紛争解決、ドーピングそしてガバナンスやインテグリティ等を学ぶ分野です。本学会の会員は半数が弁護士の先生方、残りはスポーツ法学に関わる大学の先生方が中心であり、スポーツ法学は私たち整形外科医が関わる外傷やドーピング問題などを扱いますが医療関係者は少数です。

本学会に参加するのは2回目なのですが、今春、同門の先生方にアンケート調査をさせていただき、例会でも発表しました「スポーツドクターを対象とした、性同一性障害に対する知識と診療経験に関する検討」を発表致しました。

研究のきっかけは女子サッカーに帯同ドクターとして活動させていただく中で、性同一性障害を抱えた選手が多くおり、一部の選手は治療をしながら女子選手として競技に参加する現状を知ったことです。それがトップアスリートにおいては公平性に反しかねないため、性同一性障害とアスリートをテーマに研究を始めました。

本テーマについてはスポーツ関係の学会等で発表しましたが、まだ医療関係者の間では関心が持たれにくい分野でありほとんどご質問をいただくことはなかったのですが、本学会では大勢の先生方からご質問、ご意見、励ましのお言葉等をいただきました。トップレベルのスポーツは男女分かれて競技が行われますが、現在IOCの定める男女を分ける指標は血中男性ホルモン値であり、それだけで男女を区別して良いのでしょうかという議論にまで発展しましたが、正答はないのが現状と思われます。

この研究を始めてから、今まで関わることがなかった多職種のスポーツ関係者と出会えたことは大きな財産であり、スポーツに関して視野も広がりました。将来的に何かに貢献できるかは分かりませんが、今後も継続して研究を進めて参りたい所存です。スポーツとジェンダーにつきましてご興味、ご感想等あります先生がいらっしゃいましたら是非お知らせください。どうぞ宜しくお願い申し上げます。